ビジネスに限らず、日常生活でも多くの人が経験したであろう心理現象が、この『コンコルド効果』です。
『コンコルドの誤り』『コンコルドの誤謬』『コンコルド錯誤』とも呼ばれる現象を紹介します。
今回はさほど実践的な内容ではありませんので、気楽にご覧ください。
目次
コンコルド効果とは
Wikipediaより引用します。
ある対象への金銭的・精神的・時間的投資をしつづけることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまでの投資を惜しみ、投資をやめられない状態を指す。
Wikipediaより引用
経済学における『埋没費用』を諦めることへの恐れとも言い換えられます。
埋没費用
事業や行為に投下した資金・労力のうち、事業や行為の撤退・縮小・中止によっても戻って来ない投下資金または投下した労力をいう。サンク・コスト (sunk cost) ともいう。Wikipediaより引用
ビジネスにおけるコンコルド効果
新規事業を立ち上げるときに、撤退基準を設けるべきだと言われます。
それを明確に定めて守ることができなければ、それまでの投資を惜しみ、やめられなくなります。
そうなると、損失を垂れ流し続けることになり、見切りをつけるのが難しい状態に陥ります。
たとえば起業家なら、起業する前に貯めた資金を使い切ったら廃業すると決めておくというようなことですね。
そうしておけば、少なくとも廃業した時点で借金は抱えていない状態ですから、再起がしやすいわけです。
ギャンブルやソーシャルゲームなどにも
「もう○万円もつぎこんだから、取り返すまではやめられない」
「もう○万円もつぎこんだから、次は良いカードが出るだろう」
もしかしたら、あなたもこういう状態に陥ったことがあるかもしれません。
そのときは、コンコルド効果のことを思い出して、お金をつぎ込む手を止めてください。
逆に言うと、これをビジネスに生かすこともできる
言い方は悪いですが、消費者をコンコルド効果の状態に陥らせることができれば、定期的な売り上げが見込めます。
実は前項で紹介したソーシャルゲームは、実に巧妙に仕掛けを作っています。
たとえば、以下のようなポイントですね。
・キャシュポイントがいくつもある
・常にイベントやキャンペーンをやっている
・課金が楽
・他のプレイヤーと交流ができる
あなたのビジネスでも、こういう仕掛けが作れないか考えてみてください。
また、以前、紹介したツァイガルニック効果と組み合わせることができれば、より強力な手法になるはずです。
【ツァイガルニック効果についてはコチラをどうぞ】
次項からはコンコルド効果の由来になった逸話について、です。
お時間がある方はどうぞご覧ください。
旅客機のコンコルドが名前の由来
エールフランスとブリティッシュ・エアウェイズで運航していた、『コンコルド』(協調、調和の意味)という旅客機が名前の由来です。
一定以上の年齢の方ですと、ピンと来たのではないでしょうか。
マッハ2という超音速で飛ぶことから、就航当時はかなり話題になったそうです。
ジャンボジェットがマッハ0.8強という巡航速度だと考えるとかなり速いですね。
余談
余談ですが、コンコルドは世界初の超音速旅客機だと紹介されることがありますが、実は違います。
ソ連国内のみで飛行していた、ツポレフTu-144という旅客機がコンコルドより先に就航しています。
とはいえ、見た目がソックリなので、航空機マニアの間ではコンコルドの設計図を(盗んで)参考にしたのではという噂がまことしやかに囁かれています。
商業的に大失敗だったコンコルド
コンコルドは、1962年から英仏の両国で共同開発が始まりました。
一時は世界各国から100機以上の発注がありましたが、開発途中で様々な問題(※)が発生し、キャンセルが相次ぎました。
結果的に、35億ドルとも40億ドルとも言われる開発費(当初計画は8億ドル)を投じながら、受注はありませんでした。
(1970年で換算すると、1兆2600億~1兆4400億円:当時ドル円は固定相場制で1ドル=360円)
最終的に、英仏両国は自国のエールフランスとブリティッシュ・エアウェイズに無理矢理押し付ける形(1ポンド!! で買い取らせた)で、1976年に何とか就航にこぎつけました。
しかし、量産16機(原型機が4機)のみの製造で計画は打ち切りとなり、その後も開発費の穴を埋めることなく、2003年に運航が停止されました。
※長い滑走路が必要なこと、ソニックブームの発生、乗員が少ないための不採算性(定員100名)、二度にわたるオイルショックの影響など
まとめ
ソーシャルゲームを例にとった仕掛けを、あなたのビジネスでも作れないか是非、考えてみてください。
役に立ったとき、気が向いたときに是非シェアしてください。
よろしくお願いします。
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