市場シェアを十分にとれない、とれていない企業にとって、販売戦略というのはとても大事になります。
もちろんご存知でしょうが、中小企業が大企業と同じやり方をしても勝ち目はありません。
弱者には弱者の戦略があります。
あとで詳しく紹介しますが、弱者とは一部の強者以外の全てを指します。
(ですので、弱者という言い方に、誰かを貶める意図はありません。あしからず)
強者とは、市場で一番をとっているような(多くは)大企業のことです。
そして、それ以外はほぼ弱者であり、ほとんどが中小企業です。
※本記事では、中小企業と一括りにしていますが、個人事業主も含んでいます。
目次
中小企業の定義
中小企業庁によると、中小企業・小規模企業者とは、
製造業その他 ⇒ 資本金(もしくは出資総額)が3億円以下、または常時使用する従業員数が300人以下の会社及び個人
卸売業 ⇒ 資本金(もしくは出資総額)が1億円以下、または常時使用する従業員数が100人以下の会社及び個人
小売業 ⇒ 資本金(もしくは出資総額)が5千万円以下、または常時使用する従業員数が50人以下の会社及び個人
サービス業 ⇒ 資本金(もしくは出資総額)が5千万円以下、または常時使用する従業員数が100人以下の会社及び個人
となっています。(例外もあります)
【参考:外部サイト】
中小企業・小規模企業者の定義(http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html)
中小企業の数
そして、上の定義に該当する中小企業数は約381万(中規模企業56万 + 小規模事業者325万)です。(2014年)
また、そこで働いている従業員数は約3,361万人います。
※企業数 = 会社数 + 個人事業所数(単独事業所及び本所、本社、本店事業所)
それに対し、大企業の数は、約1.1万で、従業員数は1,433万人だということです。
つまり、中小企業は大企業よりも従業員数では2倍以上、企業数では346倍多いということです。
比較的大きな中小企業から個人事務所まであるとはいえ、日本国内にはいかに中小企業(と個人事業主)が多いかということがわかりますね。
企業の廃業・倒産
2016(平成28)年版の中小企業白書を見ると、2015年の倒産件数が、
8,812件(内訳:大企業6件、中規模企業1,159件、小規模企業7,647件)
となっています。
リーマンショック直後に比べて徐々に減ってきているとはいえ、年間にこれだけの数の企業が倒産しているという事実があります。
また、2015年の休廃業・解散件数は26,699件となっています。
こちらの数字は、ここ数年高い水準で安定しています。
しかし、その一方で、中小企業の経常利益の推移を見てみると、過去最高水準となっています
ということは、利益を伸ばしている企業と、そうでない企業の差が大きくなっているとも言えそうです。
中小企業はどう戦えばよいか
では、ここから中小企業がどのように活動していけば、利益を伸ばせるかを戦略的に考えていきたいと思います。
中小企業は、市場において多くの場合、弱者です。
大企業には資金面でかないませんし、また、大体において先発の企業がいますので、簡単に市場シェアを高められるわけではありません。
しかし、弱者には弱者の戦い方があります。
先発の大企業やマーケット・リーダー(市場リーダー)に真っ向勝負するのではなく、弱者のやり方で市場に食い込んでいけるようにすればいいわけです。
では、それを紹介する前に、強者と弱者を定義しておきましょう。
強者の定義
基本的には、市場シェア1位の企業を勝者、それ以外を全て弱者と呼びます。
しかし、市場シェア1位でもいつひっくり返るかわからないシェア獲得率では、本当の勝者とは言えません。
ですので、本記事での勝者を以下のように定義します。
①業界1位であること
②市場占有率26%以上であること
③2位との間に10対6以上の差をつけていること
②の26%というのは、市場シェアの3大目標値(※)のうち、下限目標値とされる26.1%からきています。
これは、市場で1位をとった上で安定できるかどうかの境目です。
また、③の10対6は、これ以上の差をつけると、市場の占有化が始まるラインからきています。
※市場シェアの3大目標値とは、1972年に『ランチェスター戦略入門』を著し、「田岡理論」、「田岡式販売戦略」で有名なマーケティング・コンサルとの田岡信夫氏が提唱したものです。
田岡氏は、軍事シミュレーションモデルの一つであるクープマンモデルを解析して、市場シェアの3大目標値(73.9%、41.7%、26.1%)を導き出しました。(田岡・斧田シェア理論)
更に、田岡氏は、19.3%、10.9%、6.8%、2.8%の4つを導き出し、市場シェアの目標値を体系づけています。
これが、7つのシンボル目標数値と呼ばれるものです。
弱者の経営戦略とは
上で紹介した強者に当てはまらない企業は全て弱者です。
では、弱者が強者に勝つために、もしくは少なくとも廃業や倒産せずに事業を続けるためにどうすればよいか紹介します。
それにはまず、会社経営をするにあたって最も大事な戦略を立てる必要があります。
具体的な経営戦略は
◆競合を調査し、強すぎると判断したらその分野は避ける
◆競合他社と差別化する
◆まず専門分野や地域で1位をとる(区分けは何でも構わない)
◆ペルソナを作り、ターゲットを絞る
◆1位をとると決めた分野、地域にすべての力を集中させる
◆できるだけ固定費を減らす
◆できれば競合他社に知られないように行動する
では、実際に何をすればいいか
また、その経営戦略を進めていく中で、考えなければいけない要因があります。
以下の8つです。
◆商品戦略
◆エリア対策(どこで売るのか)
◆ターゲット戦略(ペルソナなど)
◆営業・マーケティング(二つは全くの別物です)
◆顧客対応(リピーターを得る仕組みづくり、クレーム対応など)
◆組織構築(自社内の人員をどこに当てるか)
◆資金対策(事業資金)
◆時間配分(期限の設定、何にどれくらい時間をかけるかなど)
などなど沢山ありますが、今回は
【どこで、何を、誰に、売るか】
ということに焦点を当てます。
というのも、商品・サービスが売れないことには経済活動を続けていけませんので。
どこで、何を、誰に、売るか
では、【どこで、何を、誰に売るのか】をそれぞれ考えていきましょう。
商品戦略
競合他社との差別化が、最も重要な点です。
ナンバーワンになれるように、以下のようなことを参考に商品・サービスを捉え直してみてください。
◆ターゲットを限定する(例:大きいサイズ専門アパレル、夜間限定ハウスクリーニングなど)
◆同業が弱い業種、商品を狙う(例:個人店舗が多い職種・業種)
◆大企業が見向きしないこと(サービス)、商品を狙う
◆業界の古いやり方を変える
エリア対策(どこで売るのか)
上で商品の話をしましたが、独自商品・サービスはすぐに真似されますので、できればエリア対策を重視する方がいいかもしれません。
これも大企業が見向きしない場所、競合が弱い(もしくはいない)場所に絞ることを考えるべきでしょう。
詳しくは、当サイトの過去記事を参考にしてください。
【参考】
ターゲット戦略(ペルソナなど)
商品戦略の部分でも少し触れましたが、弱者の経営戦略に則って、ターゲットは限定するべきです。
たとえば、企業向けに売るのと、個人向けに売るのとでは大きく違います。
企業向けに売るのでも、大企業を相手にするのと中小企業を相手にするのは違いますし、また相手がメーカーなのか卸なのか店舗を持っているのかでは違います。
また、個人向けに売るとなると、ペルソナを明確にするというやり方があります。
こちらも当サイトの過去記事を参考にしてください。
【参考】
ウェブ上でもやることは同じ
ウェブ上でもやることは同じです。
私はウェブマーケティングコンサルタントですので、主にこのようなことをクライアントさんと一緒になって考え、ホームページ上に反映するのが仕事です。
商品を再検討して見せ方を変えたり、エリアを限定したり、ターゲットを限定したりしています。
そして、実際にある程度の成果を出しています。
以前、紹介した通り、今現在、ネットの世界ではエリアビジネスに有利な風が吹いているので、こういった考え方はより大事になってきています。
まずは一点突破を図り、成果を得ることができたら、その範囲を徐々に広げていけばいいと思います。
まとめ
弱者の戦略とは、商品を絞り、ターゲットを絞り、地域を絞って局地戦に持ち込み、そこで勝利するというものです。
そして、(全体から見れば)部分的な勝利を確定して、その領域を徐々に広げていくというのが常道です。
間違っても最初から商品・サービスの種類を多く持ったり、広すぎる地域で戦おうとしないでください。
また機会がありましたら、今度は売り方(営業・マーケティング)についても紹介したいと考えています。
まずは【どこで、何を、誰に売るのか】について、是非、取り入れられそうなところから試してみてください。
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