前回は、『読みやすい文章を書く方法』をご覧いただきました。
前回の記事はこちら
しかし、それだけで読みやすい文章が書けるかというと、そうではありません。
そもそも、文章をどうやったら書けるようになるのかというところをお話ししていないからです。
今回はその根本的な部分を紹介したいと思います。
目次
どうすれば上手く書けるようになるか
結論から述べると以下のようになります。
1. 書くことを習慣づける
2. 読むことを習慣づける
3. 文章力には才能も必要だが、練習することである程度までは上達する
4. 人にチェックしてもらう。
では、一つずつご覧ください。
書くことを習慣づける
これは当たり前のことですが、やはり書かないことには文章は上手くなりません。
文章を書くことが苦手な人にとっては苦行ですが、毎日少しずつでも書いてください。
そして、書いたものを次の日に読んでください。
もしかしたらアラばかり見つかって落ち込むかもしれませんが、改善点が見つかるということは良いことです。
見つかった改善点を一つずつ修正しながら、30日間毎日やってみてください。
「写経」の重要性
写経とはお坊さんが経典を書写すること。つまり経典を手書きで書き写すことです。
実はこれ、文章上達にも役に立ちます。
綺麗な日本語を書く人の文章をパソコンやワープロを使わず、自分の手でひたすら書き写すして体に覚えさせるんですね。
(実際、私は小説家を目指していた若い時分、森鴎外の『山椒大夫』が含まれた文庫を丸々一冊、書き写したことがあります)
これはコピーライティングの世界でも同じように言われていて、お手本となるセールスレターを丸々書き写して練習することがあります。
習いたての頃、手本通りに進めるというのはどこの世界でも同じですね。
とはいえ、私のように本を丸々一冊書き写すようなことはされなくても結構です。
まずは「この人、文章が上手いな~」と思った方の文章を分析してみてください。
前回、『読みやすい文章を書く方法』を紹介しましたので、それと照らし合わせながら見ていくとよりわかりやすいかもしれません。
読むことを習慣づける
先にアウトプットの話をさせていただきましたが、同じくらい重要なのはインプットです。
本でも雑誌でも文章を読む機会を作りましょう。
ブログ記事はあまりお勧めしません。
なぜならば必ずしもプロが書いているわけではないからです。
(あ、でも私のブログは是非とも読んでください、笑)
じゃあ、小説を読めばいいのかというと、決してそうとも言えません。
理由は二つ。
1. 小説家でも文章の下手な人はいる
2. 純文学系の小説は作者が意識して読みにくくしているものもある
細かい説明は省きますが、
1は、文章が下手でも作品に魅力があれば小説家になれる
2は、わざと読みにくくすることで作品を魅力的にしていることがある
からです。
では、結論としてオススメは何かというと、やはり新聞です。
新聞の何が良いかというと、字数制限のある中で事実(もしくは彼らが事実だと主張したいもの)を伝えなければならないからです。
必然的に余分な言葉を省くことになりますので、お手本としては最適だと思います。
とはいえ、今から新聞をとれという話ではありません。
今はウェブ上で新聞(見られるコンテンツは限られますが)を読むことができますので、是非活用してみてください。
文章力向上には才能も必要だが、練習することである程度までは上達する
新潮社が運営する「村上さんのところ」(現在は公開終了)という特設サイトで、ノーベル文学賞候補に何度も上がっている村上春樹さんが以下のように言っています。
村上春樹さんは「ハルキ節」と言われるように、やや癖があるものの、昔からいる純文学系の作家さんの中では読みやすい文章を書く方です。
『文章を書くというのは、女の人を口説くのと一緒で、ある程度は練習でうまくなりますが、基本的にはもって生まれたもので決まります』
これは「文章が上手くなるにはどうすればいいか」という趣旨の大学院生の質問に答えたものです。
実は、脳科学の分野では、「文章力や言語能力というのは、遺伝するもの」と結論づけられています。
ある意味、才能というべきものです。
ですから、村上さんの答えは理に適っているということですね。
ここで勘違いしていただきたくないこととして、村上さんは「下手な人は諦めろ」と言っているわけではないということです。
『ある程度は練習でうまくなります』と、ちゃんと書いてくれているんですね。
その証拠に、別の質問ではこう答えています。
人にチェックしてもらう
少し長いですが、全文引用です。
自己表現をするにあたっての僕のアドバイスは、レイモンド・カーヴァーが大学の創作講座で生徒たちにしたアドバイスとまったく同じものです。「書き直せ」、これがすべてです。いろんなものを書き散らすのではなく、ひとつのことを何度でも何度でも、いやになるくらい書き直す。これが大事です。その作業に耐えられない人は、まず作家にはなれません。
それから指導してくれる人、忠告を与えてくれる人が必要です。何度も書き直し、何度も忠告を受ける(あるいは批判される)、そうやって人は文章の書き方を学んでいきます。
たしかに職業的小説家になるのは簡単ではありません。しかしたとえ小説家にはなれなくても、人が生きていく上で、文章技術を身につけるというのはとても大切なことだと僕は思います。何かと役に立つものですよ。
これは17歳の男子高校生からの質問に村上春樹さんが答えたものです。
男子高校生は職業小説家になりたいと考え、ライティングスキルをどうやって上げたらいいかと質問しました。
この答えには大事なことが二つ含まれています。
一つは、「何度も書き直せ」ということです。
これはとても地味な作業ですが、非常に文章力がつきます。どうやったら読みやすくなるか何度も何度も試行錯誤を繰り返すんですね。
とはいえ、あなたは職業作家になるわけではありませんから、書き直す時間を決めて取り組みましょう。
まずは書いてみて、全体を通して読み直して書き直してください。
もし周りに文章の上手い人がいなくても、誰かにチェックしてもらうのは良いことだと思います。
自分ひとりで書いていては気づかない部分も出てきますから。
大事なことのもう一つは、「指導してくれる人、忠告を与えてくれる人が必要だ」ということです。
これは何でもそうだと思いますが、やはり教えてくれる人がいると、上達が速いです。
私もクライアントさんの文章をチェックすることがあります。
最初は、「文章を書くのが苦手でどうしたらいいかわからない」と言っていた方が、三ヶ月ほど経つと『それなり』に書けるようになります。
この『それなり』というのが、とても大事なことなんです。
あなたは職業作家になるわけではありませんから、美しい文章を書く必要はありません。
読みやすい文章を書ければそれでいいわけです。
そのために、読みやすい文章とはどんなものかということを理解し、実践してください。
まとめ
長くなったのでまとめます。
1. 書くことを習慣づける
2. 読むことを習慣づける
3. 文章力には才能も必要だが、練習することである程度までは上達する
4. 人にチェックしてもらう。
今回は技術的なことをあまりお話ししませんでしたが、よく質問されることですので説明しました。
今の自分には何が必要なのか、その必要なことを身に着けるためにはどうしたらいいかということを考え、そこから逆算して今やるべきことを決めて実践してください。
『経営学の巨人』と言われた、P.F.ドラッカーは
「自分の強みに集中せよ」
と言ったとされています。
しかし、弱みを放っておいていいとは一言も言っていません。
トータルで考えて、自分の弱みを克服することが会社の利益につながるのであれば、それに注力するのもアリなのではないかと個人的には思います。
役に立ったとき、気が向いたときにシェアしてください。
よろしくお願いします。
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