今回の記事は、特に地方でビジネスをされている方に参考にしていただきたい内容です。
ウェブマーケティングとは少し離れますが、大事なことですので、是非ご覧ください。
※中小企業(もしくは小規模店舗)向けの内容です。
目次
エリア戦略とは?
エリア戦略とは、エリアで顧客を分け、そこのマーケット特性や競合他社など市場調査を行って、営業手法を選んだり、出店計画を立てたりすることです。
市場が成熟した現在の国内市場では売上を伸ばす上で、市場全体に訴えかけてもなかなか反応は得られません。
そこで顧客を細分化する必要があるのですが、その一つの基準となるのが、エリア(地域)だということです。
商品戦略の限界
当然ですが、売上を伸ばすには、商品やサービスを顧客に購入してもらう必要があります。
では、それらを購入してもらうにはどうすればいいかというと、まず最初に考え付くのが差別化だと思います。
独自の商品やサービスを打ち出していくのが、その手法の一つですね。
しかし、これが難しいのはおわかりいただけると思います。
独自商品の開発にはそれなりの時間と労力、お金がかかります。
そして、苦労して開発し、売れたとしても、すぐ他社に真似されます。
特に大手は資本力がありますので、『規模の経済性』を利用して類似商品を出されると、中小企業では対抗のしようがありません。
ですので、中小企業は商品戦略よりもエリア戦略の方を重視すべきです。
売り方が重要
前項で述べた通り、商品の優劣で勝負するのはなかなか難しいというのが現実です。
ですので、その場合は、
- どこで売るのか、
- どのターゲットを相手にするか
- 営業手法はどれにするか
など、販売戦略を考える方が重要になってきます。
つまり、売り方の問題ですね。
ターゲットや営業手法に関しては、話が複雑になりますので、ここでは触れません。
ターゲットに関しては、こちらを参考にどうぞ。
既にビジネスを始められている人でしたら、これから売る商品を変えるというのはなかなか難しいかもしれません。
しかし、エリアを絞ることでしたら、明日からでもできるはずです。
店舗ビジネス(例:飲食店やサロン、整体院など)をやられている方は、そう簡単に移転はできません。
その場合でも、チラシ配布の範囲を思い切って絞る、リスティング広告やホームページのSEO対策でも同様に範囲を絞るなど、訴求面でやれることはあるはずです。
チラシに関しては、こちらも参考にどうぞ。
エリア戦略において、まず考えておくべきこと
エリア戦略において、まず考えておくべきことは
- 潜在顧客の多いところには競合も多い
ということです。
一見、顧客が多い方が売上も伸ばせそうですが、競合の存在を忘れてはいけません。
考えてみれば当たり前のことですが、顧客になり得る人や企業が多ければ、そこには自分以外も興味を示します。
自分が簡単に思いつくことは、大体、他の人も考えているということです。
ですので、ある程度以上の売上が見込めるとなると、大企業が進出しているはずです。
ましてや、その地域で昔から商売をしていて固定客を確保している会社もあるでしょうから苦戦は必至です。
エリア戦略では都市部より地方を狙う
少し回りくどい説明になりましたが、エリア戦略においては都市部より地方を狙いましょう。
都市部には潜在顧客が多いだけに、競合も多いはずです。
※ここでいう都市部とはいわゆる五大都市の東京23区、大阪市、名古屋市、福岡市、札幌市だけでなく、目安として人口五十万人以上の都市のことです。
そして、地方を選んだら、そこで更にエリアを絞りましょう。
エリアを絞る方法は二つあります。
一つは、市場調査をして、競合が少ない(もしくは弱い)場所を選ぶことです。
もう一つは、物理的に行きづらいところを狙うという方法です。
地方都市の中心部から離れている場所ですね。
大手企業はわざわざそんなところに行かなくても都市部で売上を伸ばすことができます。
ですから、わざわざ時間と労力をかけて、辺鄙なところまで行く必要がないわけです。
そこが中小企業の狙い目となります。
エリアを絞る理由
中小企業は人的リソースが乏しいはずです。
その弱点が顕著に表れるのが、営業エリアの問題です。
営業エリアを増やすと移動時間が増えます。
移動している時間は利益を全く生みませんから、できるだけ減らしたいですよね。
恐ろしいことに、営業エリアを地図上の円でとらえて、その半径を2倍にすると、カバーしなければならない面積が4倍になります。
(例:半径2kmだと面積は、2×2×π=4π、半径4kmだと面積は、4×4×π=16π)
つまり、同じ人数で4倍のエリアを回らなければならなくなるので、一度の営業にかける時間も労力も必然的に減ってくるというわけです。
これは営業に限ったことではありません。
顧客のフォローアップが必要な業種の場合、移動時間が増えれば増えるほどロスが増えてくるということです。
エリアを絞って成功したら
エリアを絞って成功したら、次は別のエリアというように、徐々に面を確保していくという手法がおすすめです。
一部で成功したから今度は全体で、というようにいきなりエリアを広げるのは危険です。
人的リソースの問題、営業手法の違いが出てくるなど、それまでとは勝手が違ってくるからです。
成功した勢いのまま都市部へ進出するとしても、まずは中心地帯を避け、郊外を選ぶべきでしょう。
そして、これは、居住地などの関係から都市部で勝負せざるを得ない方にも当てはまります。
激戦必至の中心部を避け、自分が勝てそうなところで、まずは成功を収めるということですね。
エリア戦略の具体例
エリア戦略を取り入れて大きく成長した企業の代表として、セブンイレブンがあります。
(大企業の例ですが、個々の店舗はフランチャイズであったり、本部直轄であったりするものの小売り店舗ですから参考になります)
セブンイレブンは出店エリアを絞ってシェアを高め、そこで一定の成果を出してから別のところへ出店するという方式をとっていました。
コンビニは小口配送が基本ですから、近くに店舗がある方が、輸送コストがかかりません。
ですから、セブンイレブンは新店舗を出店するときも、できるだけ既存店の近くを選んでいます。
昔からセブンイレブンは、一店舗あると、近くに別の店舗があるという光景を見かけたような気がしませんか。
これには明確な理由があったんですね。
これが成功を収めたということが、別の大手コンビニチェーンであるローソンとの比較で顕著に表れます。
ローソンが全国47都道府県に出店を完了した1997年に、セブンイレブンは31都道府県にしかありませんでした。
全国どこに行ってもローソンを見かけたのに、セブンイレブンがない都道府県があったのはこういう理由だったんですね。
しかし、実はその時点でも店舗数はセブンイレブンの方が1.5倍も多かったのです。
しかも、2015年2月の大手コンビニチェーン店の経営会社の損益計算書を見てみると、営業総収入が
- セブンイレブン:7363億4300万円(経常利益:2325億9300万円)
- ローソン:3163億4000万円(経常利益:616億4900万円)
と、大きく差がついています。
それにしても特筆すべきはセブンイレブンの経常利益の高さですね。
最後に
この記事で見る前から、エリア戦略という言葉は聞いたことがあると思います。
また、その言葉が意味するところも、多くの人が何となくご存知でしょう。
しかし、意識して、それを徹底している企業や店舗がどれだけあるかというと、さほど多くない印象です。
もし、何となく意識されているようでしたら、それを更に深化させてみてください。
もしかしたら、ご自分が思っている以上の成果を得られるかもしれません。
エリア戦略について冒頭では、ウェブマーケティングとはあまり関係ないと述べましたが、実は今、インターネットの世界でもエリアビジネスに追い風が吹いています。
詳しくはこちらをご覧ください。
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