『戦略』と『戦術』は、元々、軍事用語です。
『戦』という文字が入っていることから一目瞭然ですね。
現在の日本では、会社経営や事業運営の際に、よく用いられます。
しかし、戦略と戦術が混同して使われていることが多く見受けられます。
そこで、今回は両者の違いを明らかにし、インターネット集客における戦略と戦術についても述べたいと思います。
目次
『戦略』と『戦術』の違い
歴史上初めて『戦略』と『戦術』を明確に区別し、それらがどんなものか説明したのは、プロイセン(※)のカール・フォン・クラウゼヴィッツだと言われます。
※プロイセン・・・ドイツ北東部、バルト海南岸の大部分を占める地方。1701年、プロイセン王国が成立。
また、第一次大戦後に成立したドイツ共和国(ワイマール共和国)の中核を担った。
クラウゼヴィッツの死後に発表された、『戦争論』から引用してみましょう。
……さて、これらの戦闘をそれ自体において秩序立て遂行させることと、これらの戦闘を連合させて戦争の目的に結びつけることとは、まったく相異なる活動に属する。
すなわち前者は戦術と呼ばれるものであり、後者は戦略と呼ばれるものである。【戦争論、第二部一章より】
やや読みにくい文章なので、わかりやすくすると、
戦術・・・戦闘を秩序立てて遂行させること
おおよそ、このように分けられます。
戦闘というのは、ビジネスに置き換えると、日々の業務や作業になるでしょう。
つまり、日々の業務を効率良く進めるためにあるのが戦術で、
日々の業務を、何のために行なうのか説明してくれるものが戦略とも言えます。
やや簡略化しすぎたきらいがあるものの、おおよそこのような意味合いです。
『戦略』は目的、『戦術』は手段
前項では歴史的経緯から述べましたが、それをもっと単純化して一言で表現すると、
戦略は『全体像を把握して目的達成のシナリオを作ること』
戦術は『シナリオ通り進めるためにとる手段』
ということになります。
かなりわかりやすくなりましたが、これだけでは不十分ですので、以下に補足説明を加えます。
『戦略』を達成するための『戦術』
ビジネスにおける勝利は『利益をあげること』です。
・そのためには、ある程度の売り上げをたてる必要があります。
・売り上げをたてるために、何をすればいいか考えて計画を練る必要があります。
・計画を練るために、自社の現況を把握する必要があります。
これをまとめると、現状を把握し、売り上げをたてる計画(シナリオ)を作ることが戦略ということになります。
対して、戦術は、戦略策定の際に決めたシナリオ通り進めるためにとる、具体的な手段・手法のことです。
たとえば、「(将来的に利益をアップさせるため)今期はAという商品を市場に普及させる。具体的には10,000個販売する」という戦略があったとします。
これを達成させるために、
・新聞に折り込みチラシを入れる
・インターネットに広告を出す
・既存顧客に新規顧客を紹介してもらうようお願いする
といった案が出てきたとします。
これらが全て戦術ということになります。
インターネットにおける『戦略』と『戦術』を考える
前項の最後に、『インターネットに広告を出す』というのが戦術だと説明しました。
この場合、インターネット(ウェブ)を使うということは、Aという商品を市場に普及させるための戦術(ウェブ戦術)です。
これとは別に、
『(利益を上げるために)他社に先駆けてウェブ販売を強化し、ウェブでの売上を前年比200%にする』
という戦略を立てることがあります。
この場合は、『ウェブ戦略』ということになります。
前者は、決められた目的達成のための手段としてウェブを使っているので、ウェブ戦術になります。
後者は、目的達成をするための方向性を示しているので、ウェブ戦略ということになります。
インターネットを使うといっても、考え方一つで大きな違いが出てきます。
インターネット集客に置き換えてみると
インターネット(ウェブ)集客においても、戦略と戦術があります。
インターネット集客でよくやってしまいがちな間違いは、とにかく『流行のメディア』を試そうとすることです。
たとえば、Facebookが流行っていて成功事例があれば、それに乗っかり、次にYoutubeが流行っているとなれば、それをやってみるというようなことです。
ここまでお読みいただいた方はおわかりでしょうが、それはあくまで戦術レベルの話です。
インターネット集客における戦略は『会社(店舗)の利益をあげるためにインターネットで集客する』ことです。
自社の業態や強みを、そこでしっかりと把握しておかなければなりません。
その上で、自社に合った戦術を選ぶ必要があります。
ですから、間違っても『競合他社がSEOで上手くいっているらしいからウチもやろう』とは思わないことです。
もしかしたら、その競合他社は入念な調査と分析をし、他のインターネットにおける施策と比較検討した上で、SEOを選んだのかもしれません。
よそが上手くいったからといって、自分の会社も同じようにいくとは限らないのです。
まとめ
インターネット集客に限らず、戦略を策定することは戦術を決定する上でも、また日々の業務を効率的に進めるためにも重要です。
マネジメントにもかかわってくることですので、あなたの会社や店舗でも戦略の策定、見直しをやってみてください。
役に立ったとき、気が向いたときに是非シェアしてください。
よろしくお願いします。
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