まずは結論から述べます。
それは
『お客さんは感情でサロンを選んでいる』
ということです。
賢明なあなたでしたら、もうわかったかもしれません。
(もしかしたら、「そんなこと元からわかってるよ」とおっしゃられるかもしれませんが)
ピンと来なかったときのために、以下、解説します。
目次
感情マーケティングについて
日本で最も有名と言っても過言ではないマーケター、神田昌典さんの言葉を引用します。
「感情マーケティングの本質は、共感マーケティングである」
「感情マーケティングは、煽りたてるマーケティングではない」
「あくまでも相手の立場にたって悩みを一緒に考え、共感を得て相手をねぎらうというスタンスに立ったマーケティングである」
感情マーケティングはエモーショナルマーケティングとも言います。
人は脳で理性的に考えて、心で感情的に考える生き物です。
最終的にどちらが優先されるかというと、感情の方です。
当たり前のことを言っているようですが、実際の現場にいると見失いがちなことですから気をつけなければいけませんね。
価格競争に巻き込まれるのも共感を得ていないから
以前も紹介しましたが、価格競争に巻き込まれるのは、商品の価値がしっかりと伝わっていないからです。
お客さんは納得して共感してくれていれば、少々割高に感じたとしても、商品・サービスを購入してくれます。
これはあなたが買い物をするときのことを思い出してもらえば、おわかりいただけるはずです。
安かろう悪かろうの商品・サービスより、しっかりとしたものをそれに見合った価格で買いたいとお思いになるはずです。
まして使い捨ての商品ではない、美容に関することでしたら尚更です。
美容室、エステサロン、ネイルサロン、アイラッシュサロンなどは、特に女性にとっては大事なものです。
髪型やネイルが気に入らないだけで、一日の気分がまるで変わってしまいます。
(筆者は男性ですが、複数の女性からそういった回答を得ています)
ですから、お客さんが感情で選ぶということもおわかりいただけるはずです。
(※価格だけで商品・サービスの購入を決める人も一定割合いますから、全員がそうではありません)
マーケティングの観点から
前項とは打って変わって、一見矛盾したことを言います。
『人が行動するのは、その人がどんな気持ちでいるのかということとあまり関係がない』
ということです。
『さっきまでは感情で決めると言っていたのになぜ?』と思われるかもしれません。
最初の方で引用した神田昌典さんの言葉とも矛盾するようですが、実はそうではありません。
これについて少し説明します。
マーケティングは、数学と行動(主義)心理学から成り立っています。
行動(主義)心理学は心理学のアプローチの一つです。
内的・心的状態に依拠せずとも科学的に行動を研究できるという主張です。
つまり、ある外的要因に出くわしたとき人の心は似たような反応をするということです。
より具体的に言います。
商品・サービスを購入するかどうか決断するという場面に出くわしたとき、人は驚くほど同じような反応をします。
ですから、感情を無視しているというより、感情(心がどう動くか)を理解しようということです。
小難しい話になっているので、次項で具体例を示します。
プロスペクト理論とは
行動心理学に近い学問で、行動経済学というものがあります。
その代表的な成果であるプロスペクト理論の実験を紹介します。
以下の質問二つをご覧になりながら、あなたならどちらを選ぶかお考えください。
Q1:あなたの目の前に、以下の二つの選択肢が提示されたものとします。
選択肢A : 100万円が無条件で手に入る。
選択肢B : コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。
Q2:あなたは200万円の負債を抱えているものとします。そのとき、同様に以下の二つの選択肢が提示されたものとします。
選択肢A : 無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる。
選択肢B : コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない。
あなたなら、Q1、Q2でそれぞれどちらを選びますか?
ここまで、感情マーケティングのお話にお付き合いいただいているので、雑念が入っているかもしれませんが、少しお考えください。
答えが出た方は次項にお進みください。
人はメリットを得るより、リスクを避けたがる生き物
お考えいただけたでしょうか。
結論から言うと、一般的にQ1では選択肢Aを、Q2では選択肢Bを選ぶ人が多いという統計が出ています。
Q1では2分の1の確率で利益を得られないというリスクを避けています。確実に利益を得ようとしたんですね。
Q2ではギャンブル性が高いにもかかわらず、選択肢Bを選ぶ人が多いのです。
何もしなかった場合に背負わされる100万円という損失を嫌ったんですね。
確実に100万円を得られるという利益があるにもかかわらず、です。
このことから人は
・利益を前にしたとき、確実に利益を得ようとする
・損失を前にしたとき、価値の大小にかかわらずそれを全力で回避しようとする
ということがわかります。
デメリットの解消が重要
前項の結果から、お客さんは(一般的に)損失を回避しようとする感情が働くということがわかります。
得られるものより、失うことの方が怖い、不安だということです。
これはサロンを選ぶときの基準にも当てはまります。
お客さんは新しいサロンに行くことで得られるメリットより、デメリットの方に目が向きやすいということです。
つまり、ホームページにメリットばかりを並べ立ててもダメだということです。
「来店することによるデメリットはありませんよ」ということも示してあげないとお客さんは動いてくれません。
不安を解消することが共感につながる
ここで、冒頭で引用した「感情マーケティングの本質は、共感マーケティングである」というところに戻ってきます。
お客さんは来店するまでに様々な不安を抱えています。
たとえば料金が余計にかかるのではないか、思った通りの仕上がりにならないのではないか、などの不安です。
その不安を取り除いてあげることがとても重要です。
お客さんの不安を考えることで、それを共有し、その不安を取り除く説明をすれば、お客さんは共感してくれます。
そして、その共感は信頼へとつながります。
信頼を得ることができれば、そのお客さんがリピーターになってくれます。
リピーターを得ることの重要性は以前も説明した通りですね。
まとめ
少し長くなりましたが、感情マーケティングを例にとってお客さんがサロンを選ぶときの基準を挙げてみました。
具体例としては、ホームページで商品・サービスの説明をしっかりしてくださいということを述べました。
その説明以外にも、お客さんの不安を取り除く方法はありますが、まずはホームページを充実させることを第一に考えてみてください。
役に立ったとき、気が向いたときに是非シェアしてください。
よろしくお願いします。
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