まず、最初に述べておきたいことは、下記のアップデートの名前を覚える必要はないということです。
(そもそもGoogleが名付けていないものが多いということもありますが)
また、誤解を恐れずに言えば、どんな内容であるか記憶する必要すらありません。
なぜならば、以前も申し上げた通り、Googleの検索アルゴリズムを構成する要素は200以上とも言われているからであり、各アップデートを含め、アルゴリズムは常に更新されているからです。
また、アップデートの中には、これから日常的に行なわれるアルゴリズムの更新の一部に組み込まれると発表しているものもあります。
ですので、サラっと流し読みしていただいて、Googleがどんな意図を持ってアルゴリズムを進化させているかというところを読み取ってください。
そうすることで、これからウェブサイトをどう設計すればよいか、どういうコンテンツを作ればよいかという指針になるはずです。
目次
アップデートとは?
アップデートとはGoogleの検索アルゴリズムが更新されることです。
検索アルゴリズムとは、検索されたキーワードに対して検索結果の順位を決める計算方法のことです。
アップデートが行われると、検索アルゴリズムを構成する要素に、新しいものが加えられることがあります。
このことにより、検索順位が大きく変化するので、ウェブサイトを運営している人々にとっては大きな影響があります。
では、次項から各アップデートをご覧ください。
基本的に、それが最初に行われた時期の順に並べています。
メーデーアップデート
2010年4月末から5月頭(つまり5月1日のメーデー辺り)に行なわれたものです。
正式発表によると、一年間に400コ以上行われる変更の一つであり、自動的な処理です。
しかも、これは永続的なものだということですから、SEOを考える上で重要な指標となるでしょう。
内容は、サイトのコンテンツのクオリティ(質)を判断し、質の高いサイトがロングテール検索で上位に現れるようにしたものです。
これにより、内容(質)のいかんにかかからず、大手のサイトが検索結果の上位を占めることがなくなると考えられます。
(実際にそうなっています)
※ロングテール検索
よりニッチで、検索数の少ないキーワードによる検索
複合キーワードであることが多い。
カフェインアップデート
2010年6月実施。
アルゴリズムの更新ではなく、インデックスシステムの開発に伴うアップデートです。
Googleは2010年6月に、新たなインデックスシステムである「カフェイン」を導入しました。
これによる変化は、2009年の夏に発表されたときのプロジェクトネームから、『カフェインアップデート』と通称されるようになりました。
アップデートの内容としては、2点です。
1. 情報の鮮度が50%以上改善された
それまでのインデックスシステムはインデックス全体を更新するのにウェブを隈なく分析する必要があったため、検索結果に反映されるまでに時間がかかりました。
カフェインというインデックスシステムはインデックスを細かく分け、常に更新していくという手法に変更しました。
そのことにより、鮮度の良い情報が早い段階でインデックスされるようになりました。
2. 関連性が高い検索結果を適切に表示するようになった
画像、動画、ニュースなどの情報を処理し、キーワードに関連性の高いコンテンツを表示するようになりました。
パンダアップデート
2011年2月(英語圏に導入)、2012年7月に日本で導入。
ペンギンアップデートと並んで、最も有名なものです。
これは、コンテンツを評価して、低品質なものが検索結果の上位に表示されにくくするものです。
パンダアップデートは結構頻繁に行なわれており、現在までに約30回ほど確認されています。
また、2016年1月に、パンダアップデートがコアランキングアルゴリズム(後述)に組み込まれたという情報があります。
これにより、日常的にチェックが行われることになるはずですが、完全に自動更新になったというわけではなさそうです。
低品質なコンテンツとは
・独自性、専門性が低い
・内容が乏しい
・他のページと重複する箇所が多い
・外部からのリンクが得られていない
フレッシュネスアップデート
2011年12月実施。
新鮮でタイムリーな情報を発信しているサイトを上位表示させるアップデートです。
重大なニュース、大きな出来事があったときに検索しても古い情報が引っかかるとユーザーに不利益です。
それをこのアップデートで是正しました。
最大35%の影響を検索結果にもたらすということで注目を浴びました。
SPYW (Search Plus Your World)
2012年1月実施。日本では2014年4月導入。
以前より用いられていたパーソナライズ検索はログインしている状態でGoogle検索を用いると、その個人向けの検索結果を表示するというものです。
これに、Google+のアクティビティを用いて、検索結果に表示させるというアルゴリズムがSPYW(Search Plus Your World)です。
この画像で見るとわかりやすいと思います。
右上の『人』と『地球』のマークの『人』が選択されているのがわかりますね。
これはパーソナライズ検索がONになっている状態です。
このSPYWは、それまでより更に個人向けに検索結果をカスタマイズするので、よく見るサイトは上位に表示されます。
ですから、自分のウェブサイトを持っている方は、ぬか喜びしないように気をつけてください。
ベニスアップデート
2012年2月実施。
検索ユーザーが、地域依存性の高いキーワードで検索したときに、その地域の情報に基づいた検索結果を反映させるアップデートのことです。
たとえば、検索ユーザーが大阪にいて『居酒屋』と検索したとき、Google(の検索アルゴリズム)は『近くの居酒屋を探している』と判断し、大阪近辺の居酒屋を優先的に上位表示させます。
東京で『居酒屋』を検索したら、その近辺の居酒屋を表示させます。
つまり、同じキーワードでも、地域によって別の検索結果になるということです。
これは、モバイルでの検索が増えている昨今では、特に重要なアルゴリズムです。
というのも、モバイルユーザーが外で『居酒屋』や『カフェ』、『映画館』などの検索をするとき、居酒屋やカフェ、映画館とはどういうものかということより、どこに居酒屋があるかということを検索する可能性が高いですよね。
調べものでしたら、自宅やオフィスなどの落ち着いた環境でしたいと思うはずです。
このことから、ユーザーにとっては嬉しい、時代の流れに合ったアップデートだと言えそうです。
ただし、このアップデートは英語圏では2012年2月に行なわれましたが、日本にそれらしき反映がされたのはかなり遅れて2014年の12月頃でした。
ちなみに、ベニスアップデートの語源は、Google社内のコードネームからきたそうです。
ペンギンアップデート
2012年4月実施。(その後、確認されているだけで計6回更新)
パンダアップデートと並んで、最も有名なアップデートかもしれません。
内容としては、スパム行為を行なっているサイト、Googleのウェブマスター向けガイドラインに著しく違反しているサイトの順位を下げるものです。
2015年内に4.0が行われるという話でしたが、まだ行われていないようです。(2016年2月2日現在)
また、4.0の後はパンダアップデートと同じくコアランキングアルゴリズム(後述)に組み込まれる予定になっています。
つまり、スパム行為を行なっていないか日常的にGoogleから監視されるということになるわけです。
スパム行為とは
・不正な被リンク(自作自演)
・ディレクトリ登録型サイトからのリンク
・自動生成されるページからのリンク
・隠しテキスト、隠しリンク
・不正なリダイレクト
・キーワードの詰め込み
過去のペンギンアップデート
ペンギンアップデート1.0 – 2012年4月 ペンギンアップデート初実施
ペンギンアップデート1.1 – 2012年5月 データ更新
ペンギンアップデート1.2 – 2012年10月 データ更新
ペンギンアップデート2.0 – 2013年5月 アルゴリズム更新
ペンギンアップデート2.1 – 2013年10月 アルゴリズム更新
ペンギンアップデート3.0 – 2014年10月 アルゴリズム更新
パイレーツアップデート
2012年8月実施。2014年10月に2度目のアップデートが行われています。
これは著作権侵害件数の多いWebサイトの検索順位を下げるものです。
専用のフォームからGoogleに寄せられる、DMCA(Digital Millennium Copyright Act = デジタルミレニアム著作権法)侵害の受理件数が多いサイトが対象です。
ドメインダイバーシティアップデート
2013年5月実施。
ドメインダイバーシティアップデートの内容は、検索結果を同じドメイン名のサイトで占めることがないようにしたものです。
より多くのドメインによる検索結果を担保して、ユーザーに多様なページを見せた方が利便性が良くなると考えてのことです。
このアップデートにより、検索結果の一ページに同じドメインのページが2つまでしか表示されなくなりました。
ペイデイローンアップデート
2013年6月11日実施。
これはローン、クレジットカード関係、アダルト、ポルノなど一部のキーワードで表示されるコンテンツの品質に関するアップデート、スパム排除を目的としたものです。
これらに関係するキーワードによる検索結果はスパム行為が蔓延していたので、それを排除することを意図して行われました。
ですから、一般のキーワードには影響を与えていません。
ハミングバードアップデート
2013年9月実施。
(以前より取り入れられていたが)会話型検索が、より正確に、質の高い結果として示されるようになりました。
たとえば
『梅田駅近くで今から宿泊できるホテル』
のような検索の仕方です。
検索が音声によって行われる場合、会話型の方が使い勝手が良いはずです。
SEOに与える影響はほとんどありませんが、このことをもってGoogleが重視しているのが、ユーザーの利便性であるということがより強調されました。
語源、名前の由来は『正確であり、早い』ことだそうです。
※ハミングバードは『ハチドリ』のことです。
ピジョンアップデート
2014年7月実施。
ピジョンアップデートとは、ローカル検索結果をより正確で関連性の高いものにするべく更新されたものです。
ローカル検索結果を表示する際に、それまでのウェブ検索で培ってきた技術、アルゴリズムを用いるようになりました。
これによって、それまで地域依存性の高いキーワードで検索したとき、7つ出ていた地図検索結果が3つに減りました。
また、より近くの情報が表示されるようになったことも大きな変化だと言えます。
ちなみに、語源というか名前の由来は、鳩が帰巣本能に優れていて、巣に戻ることができるからだそうです。
ローカル検索が精密になったといことからでしょう。
ドアウェイアップデート
2015年4月実施。
ウェブマスター向けのガイドラインに違反する、『誘導ページ』(ドアウェイページ)の検索順位を下げるものです。
『誘導ページ』とは、特定の同じページに誘導する複数の似たようなページのことです。
モバイルフレンドリーアップデート
2015年4月実施。
Googleが珍しく2ヶ月も前から発表して行ったアップデートです。
内容は、モバイル端末(スマホなど)で見たときに、ユーザーが見やすいサイトになっているかを判断し、そうでないサイトの検索順位を下げるものです。
今のところスマホで見たときの検索順位だけに反映されているようですが、これがいつPCでの検索結果に反映されてもおかしくありません。
ですからウェブサイトを運営している方は、早急にスマホ対応のサイトを作ってください。
【参考】
クオリティアップデート
2015年5月実施。
ファントムアップデートとも呼ばれています。
低品質なサイトが対象ということで、パンダアップデートに非常に近いものです。
違いは、特定ジャンルのサイトやページを対象にしたのではなく、ランキングアルゴリズム全体のアップデートだという点です。
ゾンビアップデート
2015年10月実施。(?)
多数のサイトで、アクセス数が大幅に変動したようです。
このことをもって、『Googleのゾンビトラフィック』とも言うようです。
しかし、どういうアルゴリズムの変化だったかということはわかっていません。
パンダアップデート4.2が終わっていない中での出来事なので、それが関係しているという説もあります。
ちなみに、ゾンビアップデートというのは通称であり、Googleが正式に発表したものではありません。
名前の由来は10月31日のハロウィンが近いことからだそうです。
コアランキングアルゴリズム
アップデートと名前がつくものではありませんが、こちらも紹介します。
正確にどういったものかは発表されていませんが、これこそGoogleが日常的に行っているアップデートです。
パンダやペンギンといった有名なアップデートとは別で動いているようで、これに関しては詳細な情報はわかりません。
近いところでは、2016年1月の第二週に、このアルゴリズムの更新があったようです。
「あったようです」という曖昧な表現にならざるを得ないのは、Googleがこの件に関して、特に発表を行わないからです。
それも当然のことで、多ければ毎日行なわれていることを逐一発表していてはキリがありませんからね。
ちなみに、私が管理しているサイトでも多少の影響がありましたので、慌てて情報を探しに行ったところ少し経ってコアランキングアルゴリズムだとわかったというのが真相です。
アップデートが意図しているもの
Googleは常にユーザーの利便性を考えて、アルゴリズムを変化させています。
それは当然のことで、Googleの売り上げの大半は広告収入です。
利便性の高い検索サービスを提供しないと、ユーザーが使ってくれません。
ですから、ウェブサイトを運営する方はそのことを念頭に置いてください。
小手先のテクニックに頼るのではなく、質の良いコンテンツを作り、Googleと検索ユーザーを満足させることが最も良いSEOになるということを忘れないでください。
関連記事
役に立ったとき、気が向いたときに是非シェアしてください。
よろしくお願いします。
LEAVE A REPLY